Sep 07, 2010
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[東京 15日 ロイター] 国内企業の4─6月期決算は震災被害からの生産回復が急ピッチで進み、中間期・通期予想の上方修正が相次いだ。東証1部上場企業(除く金融)の来年3月期業績予想は、期初の前期比4%減益から3.1%減益に改善した。
しかし、米国債格下げや欧州ソブリン問題を背景に、企業の想定を上回る円高が定着し、外需の先行きにも不安が出始めた。企業経営者は「下期以降の不透明要素が増えた」と警戒感を強めており、V字回復の実現には予断を許さない状況が続く。
<通期では1ケタ増益との予想も>
みずほ証券リサーチ&コンサルティングによると、12日までに決算開示した東証1部3月決算企業(除く金融)1189社の4─6月期経常利益は前年同期比17.8%減と落ち込んだ。東日本大震災による自動車など製造業の減産が主な理由。ただ、4─9月中間期予想を上方修正した企業は244社と全体の2割を超え、下方修正の115社の2倍に膨らんだ。中間期は、期初予想の30%経常減益から26.6%減益に改善。通期予想も下方修正74社に対し、上方修正178社となり、全体では期初予想の4%減益が3.1%減益に上振れた。
上方修正の要因は「製造業の生産回復が想定以上のペースで進んだため」と同社の稲垣智博クオンツアナリストはみる。7─9月の生産回復が4─6月を上回ることを考慮すれば、中間期予想は依然として控えめで、「中間期実績が予想を上回り、通期予想も上方修正されれば、通期では全体で1ケタの経常増益になる見通し」(稲垣氏)という。
野村証券の松浦寿雄ストラテジストも「08年のリーマンショックのような事態にならない限り、今期は経常増益になる」と予想する。「震災直後に比べ自動車などで生産の正常化が早まったほか、重機や小売りなど一部で復興の恩恵も見え始めた」ことが要因。第1・四半期決算で予想を修正する企業は通常10─15%だが、中間決算では約60%が修正するため、中間決算前後で全体の数字が上振れしてくる可能性が大きいとみている。
足元では企業の想定以上の円高が続いているが、松浦氏は「生産回復前倒しによる恩恵で円高によるマイナスを十分カバーできる」(松浦氏)と分析する。野村証券が集計する上場企業400社の業績予想では、対ドルで1円の円高が経常利益を0.6%、対ユーロで0.2%下押しする。4月以降の円高でドル/円前提は期初の85円から81円に、ユーロ/円は122円から114円に修正されつつあり、「仮に現行の円高水準が継続しても、通期で経常増益は達成可能」(松浦氏)という。
<企業経営者は下期以降の視界不良に警戒>
しかし、企業経営者には円高や世界景気減速を懸念する発言が目立ち、下期への楽観論はそれほど強くない。
ホンダ<7267.T>の池史彦取締役専務執行役員は9日、ロイターなどとのインタビューで「1ドル=80円を切る水準では採算が合わない。これが1年も続けば今のまま放ってはおけなくなる」と述べ、海外生産拡大の可能性を示唆。通期業績予想に関しては「為替が80円に戻れば達成できる」と語った。
「今年から打って出るぞと開発費をリーマンショック前の水準に戻した矢先に震災が起き、震災を乗り切って頑張ろうといっていた矢先に世界経済がおかしくなってきた。一生懸命やってきたのに足元からぐずぐずと前提条件が崩れて本当につらい」と同氏は本音を漏らした。
日産自動車<7201.T>の田川丈二執行役員も先月の4─6月期決算会見で「本来であれば2割を超えるような増益を達成できたかもしれないのに、円高によって少額ながらも減益に追い込まれたのは残念でならない」と話した。円高に対しては輸入部品の採用や車両の輸入、現地生産の推進などあらゆる対応をしており、「急激な円高は個別企業の努力で克服できる水準でなくなってきている」と説明した。
化学大手からも「77円台が続くことになるとかなり大きな影響を受ける」(住友化学<4005.T>の野崎邦夫常務)と業績圧迫を懸念する声や、「(70円台の円高は)そろそろ限界だし、日本企業は国内で生産したものを輸出するのが不可能な水準になっている」(旭化成<3407.T>の藤原孝二専務)と悲鳴にも近い発言が相次いだ。
世界の景気減速に対する警戒感も強めている。「自動車業界が思ったより早く立ち上がったため、下期は楽観的にみたいが、米国債の格下げ、欧州のソブリンリスク、株安などがどのような形で出てくるか次第で、非常に難しい」(三菱ケミカルホールディングス<4188.T>小林喜光社長)、「もともと景気減速があるだろうとはみていたが、(格下げで)世界景気にマイナス要因が追加された」(ヒロセ電機<6806.T>串田榮副社長)などの指摘が増えている。日立製作所<6501.T>の三好崇司副社長も先月の決算会見で、今後の最大の懸念材料は世界の経済情勢と指摘。「海外売上高比率が42%でどんどん拡大していく。海外の経済情勢がどうなるかが一番。非常に見通しにくい」と語った。
このほかにも「中国の金融引き締めの影響などで5月以降は同国での油圧ショベルの販売が大幅に落ちている」(神戸製鋼所<5406.T>藤原寛明副社長)との指摘や、「震災絡みの復興需要が出てくるのは来年1─3月期以降になりそう。(復興需要を見込んで)部材を急いで調達したものが在庫として溜まっているとの話しをよく聞く。上期や年内に大きなものは出てこないと思う」(日新製鋼<5407.T>津田与員常務執行役員)との声も出た。
さらに韓国ウォンや中国元に対しても円高が継続しているため「従来なら日本から東南アジアに輸出しているものが、中国や韓国から出てきている。日本への輸入鋼材も増えており、為替が大きく効いている」(日新製鋼・津田常務)との指摘もある。グローバル競争が激化するなかで、円高などのハンディキャップを負った日本企業が増益を達成するハードルは決して低くなさそうだ。
(ロイターニュース 大林優香;取材協力 江本恵美 浜田健太郎 清水律子 杉山健太郎;編集 北松克朗)
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